2025/07/04 12:25

“ひとつの食材、ふたつの顔” が導く自然派ワインの愉しみ

七夕の夜空を見上げれば、湿り気を帯びた風のむこうから蝉が初鳴きを届けてきます。
畑では真紅の完熟トマトが陽を跳ね返し、海では脂の乗った鰯が銀鱗をきらめかせる季節。
旬の恵みを最もおいしく――そして、自然とつながるかたちで――味わうなら、土地のリズムをそのまま映す自然派ワインがいちばん。

モンソムhttps://monsomme.jpのセラーから6本を厳選し、**「同じ素材でも、洋と和で別の表情を引き出す」**という視点で組み合わせました。
ご自宅のキッチンでレストランの余韻を再現する、小さなヒントになりますように。




鰯(いわし)──夏の海が抱く、甘く濃い旨味

洋の顔│鰯の香草パン粉焼き × Beaujolais-Villages Rosé 2023

Château Bonnet|ロゼ|ワイルドストロベリー/ハーブ/細やかな酸

オレガノとパルミジャーノを混ぜたパン粉をまとわせ、オーブンで香ばしく焼いた鰯。
淡いサーモンピンクのロゼは、苺とレッドカラントにタイムのグリーンを忍ばせ、ハーブの香りと響き合いながら鰯の脂を軽快にリセットします。12 ℃前後の“冷やしロゼ”が、真夏のオーブン料理に清涼を添える鍵。

和の顔│鰯の梅煮 × Bourgogne Pinot Noir 2022

Domaine Simon Gaudet|赤|ラズベリー/紫蘇/シルキーなタンニン

骨までやわらかく煮含めた梅煮は、梅干しの酸と鰯の脂が溶け合う日本の夏の知恵。
冷やしすぎない 13 ℃で注ぐ若いピノは、赤果実のやわらかな酸が梅の酸味を受け止め、紫蘇のようなハーブ香が一体化。シルキーなタンニンが鰯のコクを包み込み、甘酸っぱい煮汁の余韻を品良く後押しします。


トマト──真紅に弾ける太陽の雫

洋の顔│完熟トマトとバジルの冷製パスタ × Crémant de Bourgogne Brut N.V.

Château Bonnet|白泡|シトラス/青リンゴ/切れ味の良い泡

湯むきした完熟トマトをオリーブオイルでマリネし、手打ちタリアテッレに絡める。
ドザージュゼロのブリュット・ナチュールは、青リンゴとレモンゼストのアロマがバジルの青さに寄り添い、鋭い泡がオイルの重さをさらりと掃います。昼下がりのテラスをそのままグラスに閉じ込めたような高揚感。

和の顔│トマトの出汁びたし × Bourgogne Côte-d’Or≪Les Lameroses≫ 2022

Domaine Jeanson Parigot|白|洋梨/ホワイトペッパー/火打石

鰹と昆布の冷たい一番出汁に湯むきトマトを浸し、冷蔵庫でじっくり味を含ませる。
丘陵地のシャルドネは、洋梨と白胡椒のニュアンスがトマトの甘酸を引き立て、石灰的ミネラルが出汁の旨味に透明な輪郭を与えます。10 ℃前後で注げば、和食卓に涼やかな風が吹き抜けるよう。


とうもろこし──陽射しを抱き込む黄金粒

洋の顔│焼きとうもろこしとリコッタチーズのリゾット × Saint-Véran ≪Les Clarets≫2022

Vignoble de Sommere|白|グレープフルーツ/ハーブ/塩味

香ばしく焼いたコーンをリゾットに散らし、リコッタチーズで仕上げるクリーミーな一皿。
ライムやグレープフルーツの酸を持つアリゴテは、チーズのコクを軽快に洗い、ロースト香とハーブニュアンスを橋渡し。8 ℃の冷たさで、黄金粒の甘味がさらに際立ちます。

和の顔│とうもろこしのかき揚げ × Bourgogne Côtes-d’Or “Clos Botaveau” 2018 macération

Domaine Bonnardot|オレンジ寄り白|アプリコット/白茶/細やかなタンニン

衣の中で粒が弾ける甘いかき揚げに、果皮浸漬したシャルドネを**14 ℃**で。
白茶とドライアプリコットの香り、穏やかなタンニンが揚げ油の香ばしさを抱き込み、味わいに奥行きを与えます。ほんのり高めの温度がコーンの蜜を引き立て、雨上がりの夜にふくよかな余韻を残します。


結び――夏の台所に自然派ワインという“清涼剤”を

夏の旬材は太陽と水のリズムを宿し、調理法次第で甘さ、酸味、香ばしさが自由に姿を変えます。
モンソムの自然派ワインは、澄んだ酸と穏やかな果実味、そして土地のミネラルを共通語に、料理の方向性に応じた多彩な対話を生み出します。

7 月の旬ペアリングワインを見る

蝉時雨が降り注ぐ夕暮れ、グラスの中に小さな清涼を咲かせてみませんか。